misc.log

日常茶飯事とお仕事と

ネットの情報を転用するにあたって新人に注意したこと

ことしはほとんど在宅で新人研修を行いましたが、そうすると起きる最大の問題は「明示的に教えたわけではない、先輩達の振る舞いや行動からの自然な学びがゼロ」というものです。別に教えようとしなくても、ちょとした手早い操作であっという間に仕事を片付ける……「今のどうやったんですか!?」とか、電話や同僚同士での指示や受け答えの様子。作業を開始してから終わるまでの立ち居振る舞い、どれくらい集中して作業しているか、他の作業とのバランスをどうとっているか。特に教えるわけではなくても、見ていると自然と伝わる「学び」というのがありますが今年はそれがゼロです。

そうなると、個人の情報収集能力や検索能力が未知の作業へ取り組む際の主な原動力になります。結果、そういうことを頑張って試行錯誤した新人から出た質問や言葉が「ネットにあったコードをどこまで使っていいのか判らない」「使ってはダメだとおもったので見ないようにしました」でした。

以下、そのときの回答を記録しておきます。

ネットの情報利用の可否と注意点

仕事を進めていくなかで、この先「ゼロから完全に自作する」ってのは実際あまりなかったりします。なので、ネットで見つけた良い方法を使わせてもらうことは結論から言うと「アリ」です。ただし条件がいくつかあります。

  • 内容について理解、把握する …… 丸コピーするなということではなく、何なのかをきちんと理解して、取り込んでも問題が無いことを確認する。これは鉄則です。ただ、仕事をやっていけばやっていくほど、どんどん「理解できない高度なもの」に遭遇します。ただ、その頃には皆さんも「まぁ大丈夫だろう」という当たりを付けられるようになると思いますので、先のことは良いとして……当面は「理解できないものは使わない」が安全です。どうしてもそれが無いと先に進めない課題にぶち当たった場合は、その時の上司や先輩と相談して一緒にことに当たってください。そして、その時の先輩達の「着眼点」「チェックのポイント」を見逃さないようにしてください。
  • 動作を確認する …… 公式に取り込む前に、まずはそのロジックがきちんと「期待通りに動くこと」それから、「異常な動作や怪しい動作を行わないことを」をきちんと確認してください。要するに、「外に居る見知らぬ人を家に入れる」ようなもの、と言えばわかりやすいでしょうか?もしくは「落ちてる食べ物を食べる」のほうが強烈かもしれませんが、要するにそういうことです。毒味無しで「拾ったけど美味しそうだから食べよう」は家族揃って死ぬ可能性があります。
  • 著作権に気をつける …… ソフトウェアにも著作権はあります。また、権利の主張方法や制約は作り手ごとに違う場合があります。個人が趣味で使う分にはまぁ何も言われないでしょうけれど、皆さんがこれから取り組むのは「商用ソフトウェア」。要するに汚い言い方をするならば「金儲けをするためのソフトウェア」です。そこに「他人のものを使って金儲けする」というようなことがあると、会社そのものの信用問題にもなりますし、最悪、訴訟などのトラブルになりかねません。ブログなどに貼ってあるコードの断片で著作権云々ということはあまりありませんが、「クラスライブラリ」、たとえば例のDLLなどの形式で公開、配布されているものは利用条件が厳しく定められている場合があるので、そこをきちんと読み解いて問題がないことを確認してください。

上記3点は気をつけるようにしましょう。というわけで、ネットでしらべて自分で「これで行ける」という判断をしたならば、それで行けるという判断自体も開発の一環です。使えるものは使って構いません。また、そうやって「使わせてもらった」ということに対して、いつか将来、みんなのような入門者や、同業の人達に対して「使ってください」と言えるようなものを公開できるようになることも視野に入れて学んでいってください(ギブアンドテイクの精神が重要です)。