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日常茶飯事とお仕事と

イーデザイン損保 &e(アンディー)を少し使ってみての感想と結論

12月の自動車保険の更新に合わせて、それまで使っていたイーデザイン損保自動車保険を、同じくイーデザインの新しいタイプの保険「&e(アンディー)」にしてみたのは下記のエントリーで書きました。

www.backyrd.net

その後、半月ぐらい使ってみての感想です。

素直な感想

だめですね。

スマートフォンが無いと意味がない

アンディーのセンサーは、あくまで衝撃検知や、恐らくですがジャイロセンサーによる移動経路の収集だけで、収集した情報を蓄積する手段を内蔵していません。どういうことかというと、スマートフォンに専用アプリを入れて、車に一緒に乗っていないと記録されないようなのです。さらに、スマートフォンBluetoothで&eセンサーとリンクし続ける必要がある上、スマートフォン側の設定も結構「ゆるめ」にして、アプリにかなり権限を与えないときちんと動きません。

確かに、車の事故などに備えるという意味ではそういう労力を厭わない姿勢は必要なのかもしれませんが……私は、「個人が常用するセンサー」は、センシングだけではなく、記録、蓄積、参照まで全て一体で初めて機械にやらせる意味が出てくると思うんです。すなわち、利用者の過失(スマホを忘れるなど)で意味が無くなるセンサーは、信頼できません。いざという時というのはいつ来るか分からない。特に、人間は慌てたり疲れたりしているときほど失敗します。事故を起こすような失敗をするときには、他の失敗も一緒に起きる可能性が高い。そうした人間の過失を補って助けるのが機械の役目じゃ無いんですか?。そこで「設定まで完備したスマートフォンが稼働可能な状態で常時そばにある」ということをセンサー稼働の前提条件にするってのはどうかとおもうのですよ……。

複数の運転者がいる状況が全く説明されていない

この&eアプリですが、運転者ごとに運転記録やスコアを残すことができ、家族間でスコアを競ったりできる、といった(正直自動車保険に求めていないどうでもよい要素)についての説明がなされていました。で、ふと思ったこと。

  • 夫婦がそれぞれアプリを入れて初期設定した状態で、運転席と助手席に座って運転した場合、どっちのスコアになるのか

普通考えますよね。センサーはBluetoothスマホが接続してくるのを待ち受けて、スマホに情報を流すだけ。センサー側にはストレージ装置などは恐らくないので、たいした情報は記録できないはず。そうなると、二人がBluetoothの接続範囲に同じアプリを起動して座った場合、どっちのスコアになるのか、自動的に運転席のスマホを判別する、といったことはできないはず。となると……運転開始前にアプリ側で「今から私が運転します」みたいな設定をするのだろうか……。とか。

その辺りについての説明が全くありませんでした。馬鹿らしいので妻にはアプリを入れなくても良い(意味が無いから)と伝え、結局試しませんでしたが。このあたり、スマートフォンが必須であることの説明もあまり明確に行われず、こうしたユースケースについての説明もほとんどありませんでした(少なくとも私は見つけられませんでした)。

きちんと記録できないことがある

理由は判りませんが、10月末に行った往復570キロ余の日帰りドライブの記録が一切行われていませんでした。

横浜~上高地日帰りドライブ

スマートフォンは持って乗車していましたが、何も記録されていません。理由は判りません。私の設定ミスかも知れませんが、人間のこうしたミスが信頼できないから、センサーでの自動記録に期待するのではないでしょうか。何のためのセンサーなのか……。

Webサイトが通常のイーデザイン損保とは別

この「アンディー」という保険商品をブランドとして打ち立てて行きたいという意思の表れなのかもしれませんが、従来のイーデザイン損保のWebサイトとは別の、アンディーサイトが立ち上げられ、契約者情報などもそちらで参照するようになりました。

アンディー専用サイト

これがですね、重いのです。動きが。ページ切り替えのたびにいちいち待たされる。別に欲しいのは自動車保険の契約情報など「文字情報」なので、洒落たグラフィックとかアニメーションって不要なんですよ。ここも、ユーザーが求めているものと全く噛み合っていない。そして、イーデザインという名前で検索してイーデザインのサイトに飛んでも「アンディーはあちら」で飛び直す必要がある。これ、必要ありました?

アプリ更新でセンサーとの再リンクが必要

これが正直一番呆れた点でした。&eセンサーを利用するためのスマートフォンアプリは、Android端末を使う自分の場合、Google経由で自動的に更新されるようになっています。で、この更新が掛かった場合、スマートフォンのアプリと、自動車に搭載した&eのセンサーの初期設定を再度行わないと走行記録が行われないようなのです。

アプリ更新で再初期化を求める画面

企画や開発をしたチームは、一般個人が自動車を利用するシーンを想像してシステムを設計したのでしょうか?荷物や人員を輸送するプロドライバーであれば、乗車前に各種のチェックを行うこともあるでしょう。しかし、一般家庭で、自動車を使う場面に「自動車保険会社のスマホアプリの更新状態を確認し、必要に応じてセンサーとの再初期化を行う」という手順が入る余地はあまりないと思いますよ。また、誰もがスマホに大量に入れているアプリの更新通知を最大音量で知らせる設定にしているわけではありませんから、更新に気付かないことも多々あるはず。こうした「確認漏れ」や「段取りのミス」を防ぎ、人間の過失を自動的に補うのが「センシング技術」「センサー」「機械」なんじゃないでしょうか?

この仕組み、あまりに「センサー以外の要素」に頼りすぎです。ほんと、これがイーデザイン損保で更新しないことを決めた決定打になりました。

結論:解約して別の保険に切り替えることにした

正直、2018年にイーデザイン損保に変更してから、別に不満はありませんでした。値段も安く、契約や更新の手続きもWebサイトのデザインも分かりやすく使いやすい。そういう印象でした。しかし、大々的に広告を打ち出して「これからの保険」みたいなイメージで打って出た新製品をみてみたら、たんなる「スマホBluetooth周辺機器としてのセンサーを車に付けられます」という程度のものでしか無かった。それも、うっかりミスや確認漏れで簡単に「センサーとしての用を成さなくなる」というもの。
これを大々的に打ち出していくところの保険は……ちょっと怖いです。

車検で行ったディーラーのすすめ

ちょうど自動車保険の切り替えは車検時期と重なるので、ディーラーでこの保険の話をして問題点として考えていること(上記の内容ほぼそのまま)を話したところ、損保ジャパンの保険がまさにそうしたニーズに対応しているという話をしてもらえました。ざっくり書くと……

  • 保険と連動するドライブレコーダーを850円/月でレンタルできる
  • ドライブレコーダーは、GPSLTE通信でのネット/音声通話接続が可能
  • 事故の衝撃検知で、位置、動画情報を自動的に保険会社に送信し、状況分析が開始される
  • LTEでの通話機能でオペレーターとレコーダーを介してその場で通話できる
  • レコーダーとスマホWiFi接続可能で、動画はスマホにダウンロードして閲覧可能
  • リアカメラも1万円の買い取りだが増設可能
  • 取り付けはディーラーで行う
  • 機種更新や故障の場合は新機種が送られてきてディーラーで交換取り付けになる

これで、イーデザインで24,000円ほどだった保険よりも、ドライブレコーダー代を入れても2万円弱の増額で済むというもの(レコーダーレンタル込みで43,000円/年ほど)。元々ドライブレコーダーは2018年に購入したAnkerのもので、買い換えも検討していたところなので、月額850円、年間で1万円チョイでレンタルできるなら、数万円のレコーダーを買うことを思えばそう高くはない。というわけで、値段はあがりますがこちらに乗り換えることにしました。

youtu.be

ちなみに日産のディーラー経由による損保ジャパンの保険は、イーデザインにする前に利用していました。その時はドライブレコーダーなどの設備無しで44,000円/年ぐらいだったので、それも踏まえて「安い」という判断です。

イーデザインでの更新取消

イーデザインの通常保険から、次の更新でアンディーに切り替える申し込みは既に行い、クレジットカードでの支払い登録もすませていたので、ここからキャンセルできるかが不安だったのですが、イーデザインの窓口に電話すると下記のように丁寧に教えてもらえました。

  • 更新取消は、Webサイトから行うことができる
  • 既に届いている&eセンサーは、自治体の処理方法にそって処分してほしい
  • 再度契約となった場合は、改めて新しいセンサーが送られる

更新取消はアンディーのサイトから、キャンセルを選んで行えました。また、後日、カード支払に使った楽天カードの方の明細でも「取消」の情報が現れましたので、無事、契約と支払共にキャンセル出来たようです。

まとめ

新しいものはとりあえず試せるなら試してみよう、と思って手を出してみたのですが、まさか本契約開始前の半月で欠点の嵐を目の当たりにするとは正直思っていませんでした。全体的に、企画側の「新しいことをやってみたかった」感だけがアピールされており、利用者の状況や気持ち、使い勝手というところまで全く目が届いていないのがよく分かったという出来事でした。
ある意味、この不満をぶつけた先(ディーラー)で、不満を相殺する商品の紹介を受けられたので、結果的には手間を掛けた甲斐はあったのかな、と思うことにします。