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日常茶飯事とお仕事と

アバター

先日、カフェスタが存続の危機ということをちょっと書いたけれど、一方でこんなニュースも。

「こんなところに金脈が」 SNS各社「アバター」が大収入源
http://www.j-cast.com/2008/12/11032070.html

アバター、Yahooの掲示板やオークション、ハンゲームなどを利用している人なら、手を出していなくても見たことはあるはず。ちょっとしたアニメか漫画のキャラクターのような人形が、利用者のIDなどと共に描かれているあれ。そもそも、一般の日本人が「アバター」という言葉に触れたのは、おそらく富士通がやっていた「HABITATハビタット)」ではないかと*1。今のオンラインRPGの基本コンセプトと同じ環境を、まだパソコン通信すら広まっていない状況でやりかけていたのだから、今らから思えば思い切ったサービスを開始したものだとおもう。そのHABITATは、「富士通ビジュアルチャット」として今も細々とサービスを続けているようだ。

富士通ビジュアルチャット
http://www.j-chat.net/habitat/

で、このいわば「仮想環境上の自分の分身」、アバターってのがいろんなネットワークコミュニティで独自に用意されていて、そのコミュニティでの自分の姿として着せ替えのようなことができるようになっているのが、冒頭に書いたリンクにある「金脈」。この着せ替えには、利用者を深みにはめるための無料のものや、その時期のテレビ番組やイベントに呼応したキャンペーンもの(たいてい有料)、次々と新作が発表される普通のアイテム(有料)などが用意されている。


で、冒頭のリンクにある文中には、「専門家もよく分からない」と書かれているけれど、これはやってみないと判らないんですよね。


確かに自分のプロフィールにある絵が着せ替えられるだけだと、そこにお金をつぎ込む理由はよく分からないと思う。だけどアバターがあるのは「コミュニティ」、そこは会話の場であったり、勝負の場であったりするわけで、アクティブな利用者のアバターには「アクション」がつきまとう。そのアクションをもり立てる過程で「他と違う」ということをアピールしたくなる気持ちは分からなくもない。実際、ハンゲームでは1,000円ほどつぎ込んでみた。値段は非常にうまい設定になっていて、安いものは数十円から。でも、こういうものを使うのが子供ばかりだったとしたら、こうまで「金脈」と呼ばれる事もなかったとおもう。やはり、この背景にはオトナがそうした場に多数入り込んでいることが影響しているのではないかと。


給与をもらって働いているオトナにとって、数十円や数百円は「出せなくはないし、他のアレを我慢すればコレくらいは」と十分考えられる金額。そこにちょっとずつつぎ込んでいる人がいるのではないかな、と思う。大の大人がこんな子供みたいなものに、とか思う人もいるかも知れないけれど、電車のなかで周りも気にせず、大きな目の少女キャラクターが活躍している少年週刊漫画誌を鞄から取り出して読みふける30代、40代が多数いることから考えると、そう不思議でも無い。むしろ、「これだからオタクは」とか言ってる人達の中にも、自分が読んでいる漫画誌は別だと考えている人も結構いることだろう・。


そうみると、比較的年齢層が低いと思われる(勝手な想像ですが)カフェスタなどが苦戦するのは、やはり客層が数百円を気軽に出せる層とは違っていたのでは?という気もする。もちろんそれだけではないと思うけれど、お金を持っている層を中心に取り込めたコミュニティやシステムは、非常に美味しい思いをしているのだろうなと思う。

インターネット白書2008(CDROM付)

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*1:最初の「アバター」: 私の場合は実は違っていて、Ultima IV: Quest of the Avatarだったりする。http://en.wikipedia.org/wiki/Ultima_IV:_Quest_of_the_Avatar