今年も確定申告のシーズンになりました。ここ数年は医療費が毎年10万円を確実に超えるのと、ふるさと納税もやっているので確定申告は必須。我が家では2009年からICカードリーダーと住基カード(現:マイナンバーカード)を使って自宅からe-taxで確定申告しています。
別にこのページに書いてある内容は「初心者に判りやすく手順を紹介」するわけではなく、むしろ「システムエンジニアやってた人が冷めた目でe-taxの利用手順を追ってみた記録」です。判りやすい手順をお求めの方は他の方のサイトを見てください。
準備にむけた公式情報確認
e-taxの利用にはICカードリーダーをPCにつなぎ、入力したデータが自分であることを照明するためにマイナンバーカードをICカードリーダーで読ませてデータを送ります。2009年頃は専用のソフトをインストールして、そのアプリで処理していたのが、数年前からブラウザー上で入力するようになりました。ただ、当初はInternet ExplorerしかICカードリーダー読み取りに対応していなかったのですが、今年からGoogle Chromeも使えるようになったようですね。国税庁のサイトで「Chrome×マイナンバーカード方式始まります!」という見出しで説明が掲載されています。
ここから、「マイナンバーカード方式で申告するための準備」をクリック。飛んだ先で「事前準備」として5項目の確認事項が挙げられています。
- パソコン、スマホの利用環境確認 …… OSやブラウザーの種類とバージョンについて列挙されています。とりあえず見て確認。
- マイナンバーカード準備 …… こちらもカード用意してね、という説明。
- ICカード読み取り準備 …… ここには、スマホをICカードリーダーとして利用する場合の手順へのリンク、ICカードリーダーの機種等に関する情報へのリンクが記載されています。
- 事前準備セットアップ …… Windows/Macそれぞれの「以前準備セットアップ」なるインストール作業へのリンクがあります。これは毎年やらないといけないようです。
- 確定申告書作成
まぁ、一通り目を通して取りかかった方が無難です。
ICカードリーダーの準備
先日Windows 10をインストールしなおしたので、ICカードリーダー周りの設定はすべてリセットされてしまいました。とりあえず、SonyのICカードリーダー用の下記ソフトのインストールを行い、SUICAの読み取りが出来るようになっている状態です。
- NFCポートソフトウェア / https://www.sony.co.jp/Products/felica/consumer/download/felicaportsoftware.html
- SFCard Viewer 2 / https://www.sony.co.jp/Products/felica/consumer/download/sfcardviewer2.html
私が使っているICカードリーダーは既に販売終了している古い「RC-S330」ですが、現行機種「RC-S380」用のソフトウェアがそのまま使えました。
e-taxを使った申請にSuicaの読み取りを行うSF Card Viewerは不要ですが、作業途中や準備過程でICカードリーダーを上手く認識しない場合など、そもそもPCと接続できていないのか、マイナンバーカードだけが読めないのか、といった問題の切り分けでいつも使っているのでインストールしています。
あと、これは毎回PCをリセットしたときに陥るのですが、RC-S330またはRC-S370を利用する場合、下記ページにある注意書きの「PC/SCアクティベータforTypeB」のインストールが必要です(https://www.jpki.go.jp/prepare/reader_writer.html)。インストーラーは下記のページで入手可能です。
事前セットアップファイルの実行
前述の確認事項4番目のところに、「セットアップファイル」のダウンロードリンクがあります。それをダウンロードすると「jizen_setup.exe」というファイルがPCにダウンロードされるので事項します。


今やこのInstallShieldのインストール画面、懐かしさを感じるようになってしまいましたね(笑)。セットアップの過程で利用するブラウザーを聞いてくるので、Chromeを選択しました。ブラウザーを全部閉じろというメッセージが出るので、こんなところで引っかかるのも嫌ですし一旦全部閉じます。

次にこんなメッセージが。

どうやら、Google Chromeを利用する場合にはChromeの拡張ツールをインストールする必要があり、それは「マイナポータルサイト」で行えるようです。このあたり、確かにマイナンバーとe-taxは別の仕組みとはいえ、管理運営側の都合であっちこっち飛ばされるのがよく分からなくて嫌なんですよね。とは言っても仕方ないので、マイナポータルサイトを見てみます。
マイナポータルサイトでGoogme Chrome拡張を入れる
一旦「事前セットアップ」のインストーラーはそのままにして、ブラウザーでマイナポータルサイトに……って、さっき「ブラウザ全部閉じろ」って言っておきながら、結局インストール過程でブラウザー開かせるってどうなのよ……と思いますが仕方ないのでそのまま進めましょう。

作業は3ステップ。
- Google Chromeの拡張機能をインストールする。
- Chrome版インストーラーをダウンロードする(書いてませんが、おそらく「マイナポータルAP(アプリ)」のインストールかと)。
- Chrome版アプリケーションをインストールする。
……えっと……?入れるものは……2つですか?どうも判りづらい。運営している側にしてみれば「マイナポータルAP」というものは当たり前のように入れるべきものなのでしょうが、こちらは「e-taxの事前セットアップ」から飛んできている、すなわち、事前セットアップのインストール中なのに、そこからさらに「Chrome拡張」と「マイナポータルAP」をインストールするという入れ子作業になっているわけで。このあたりなんとかならないのかな……と毎年思います。まぁ言っても仕方ないので書いてあるとおりやりましょう(本当はこういう風に理解せずに言われたものを入れていくのはセキュリティ的にも良くない作業です。この手順を装った偽サイトを作られたらひとたまりもありません……)。
まずはChrome拡張。

ん?「削除します」って出てるってことは既に入ってた。Chromeは導入されている拡張機能がアカウントと紐付けられているので、一通り自動的にはいったのかな。しかし……前の手順では「Chrome拡張とマイナポータルAPを入れる」ってなってるのに、ここでは「マイナポータルAPというChrome拡張」。もうほんと、名前なんとかした方がいいよ!!あと、Chromeウェブストアでこんな「Excelの作図機能で作りました」みたいな図を見るのはいつもおもうけど違和感だよ!!w
というわけで、削除しますか?と聞いてくる場合は既に最新版が入っているそうなので、この手順はスキップします。
マイナポータルAPのインストール
再度マイナポータルサイトの手順に戻ります。さっきのが「マイナポータルAP Google Chrome拡張」。次は「マイナポータルAP」です。判りづらい。こちらはダウンロードリンクが用意されているので、クリックすると「MPASetup_Chrome.exe」がダウンロードされます。それを実行しましょう。

インストールは一瞬でした。「マイナポータルAP Chromeを正常にインストールしました」って、名前!「マイナポータルAP Chrome拡張」と「マイナポータルAP Chrome」。これほんと、PCに詳しくない人は何をやってるのか全然意味分からないと思うよ……。で、終了ボタンを押すと……「Chromeウェブストア マイナポータルAP」へ……。なんで?また戻ってきたよ。手順を見ると「Chromeから削除しますとなっていなければChrome拡張を……」ってこれさっきやった手順だよね?今の流れを再度追ってみると
- Chrome拡張 マイナポータルAP導入(インストール済みなら不要)
- マイナポータルAP Chromeのダウンロードとインストール
- Chrome拡張 マイナポータルAP導入(インストール済みなら不要)
ってループしてるんですがほんとに大丈夫ですか……。やってる内容が正しいのか不安になる場面だとおもいます。多分正しいです。そのまま進みましょう。で、ここからもう1つ疑問が。マイナポータルAP導入手順の最後に「続いて、マイナポータルの利用者登録を行いましょう。04 利用を開始する に進みます。」とあります。これはやるべきなのでしょうか。それともさっきから中途で止まっている「事前セットアップ」に戻るべきなんでしょうか……。
「04 利用を開始する」を見てみると、以下の手順が書いてありました。
これもう完全に「事前セットアップ」から来た人が置いてけぼりになってるパターンですね。これ、やるの?不要なの?トップ画面ってどこ?w。とりあえず、おそらく「マイナポータル」なるサイトのトップ画面だろうということで見てみましょう。トップページへのリンクがあったので、そこから飛んで、カードリーダーにマイナンバーカードを載せた状態で右上にある「ICカードライタでログイン」を選ぶと、ログイン画面が出ます。ここではカード受け取り時に設定した4桁数値の暗証番号(このサイトの用語では「パスワード」)を入れます*1を入力すると自分の情報が見られるサイトに飛びました。どうやら、過去にマイナポータルAP Chrome拡張を入れた際に作業していたようですね。
というわけで、事前セットアップに戻ります。
事前セットアップに戻る
マイナポータルへ飛ぶボタンがあるインストーラーの画面に戻り、「次へ」を押すと……

またChrome拡張ですか。今度は「e-tax AP」ですか。いやもうさ、APって略すのやめてきちんと「アプリ」とか「アプリケーション」って書いた方が作業してる人達に伝わりやすいと思いますよ。アプリをAPって略すのが誰にでも通用するとおもったら大間違いよ。確かにマイナンバーを使うって人が全てe-taxも使うわけじゃないので、拡張機能などが分かれるのは仕方ないのですが。だったら最初に「この作業ではこれと、これと、これを入れます」って書いてくれた方が判りやすいと思う。ほんと、典型的な古くさいIT系の人間が書く「おまえらは言われたとおりにやりゃいいんだよ」感が溢れる手順だなぁ。
e-Tax AP Chrome拡張をインストールする
こちらは未インストールのようなので、インストールしましょう。

こちらはすぐにインストール完了します。というわけで事前セットアップに戻りましょう。

事前セットアップに戻る
やっと事前セットアップのプログレスバーがうごきました……

こちらが一通り終わると、次はJPKI利用者ソフトのインストールが勝手に始まります。
JPKI利用者ソフトのインストール
次は「公的個人認証サービス 利用者クライアントソフト(JPKI利用者ソフト)」なるモノがインストールされます。先ほどの事前セットアップに比べて更に懐かしい色合いのインストーラーが動き始めます。半角カナがまたWindowsNT時代を彷彿とさせますね……。

次へ……ですすめていくと、プログレスバーが出ていたダイアログが消えるのですが……大丈夫か??

事前セットアップもまだ動いている状態なので、現時点の状態はこんな感じです。

止まってる。もう10分待ちましたが駄目。検索してみるとブログでこの件に言及されている方が。
どうやら「Javaがインストールされていないと駄目」っぽい。確かにこのPC、先月Windows10を入れ直して以来、Javaのランタイムはインストールしていません。いやまじで?で、この動きかけのインストールはどうすればいいの……。強制終了していいのだろうか。しょうがない、このまま入れてみよう、ということで起きた酷い状況がこちら。

とりあえずJavaランタイムがインストールされたことを、コマンドプロンプトから「java -version」と打って確認。

動きっぱなしのインストーラー、埒があかないのでタスクマネージャーから強制終了させましょう……。怖いけど。

残念ながら入れ子になったインストーラーの親の方、事前セットアップのインストーラーも「副処理として呼び出したJPKIインストーラーからの返事が無い」状態で止まっているので、こちらも強制終了。再度「jizen_setup.exe」を実行しなおします。
事前セットアップのインストーラー再実行
再実行。途中、Chrome拡張のインストールを要求される部分を飛ばそうとすると「いいですか?」と聞いてくるので、「はい」でスキップ。JPKI利用者ソフトのインストーラーが再度ダウンロードされて……次へを押すと……。ほらきたぁ!!

やはり、事前にJavaランタイムのインストールが必要でした。そんなのインストール過程の手順には何も書いて無かったよね。ひどい。こんなの素人さんが出来る手順じゃないよ。で、この「更新通知設定」はとりあえず「はい」で先に進みます。その後確認メッセージが出ますが先に進めると、無事終了!

事前セットアップに戻る
JPKI利用者ソフトのインストールが終わると、自動的に元の「事前準備セットアップ」の画面に戻るのですが少し待たされます。慌てずにそのまま見守るとこんな画面が。

このまま確定申告するので、「はい、Google Chromeで……」を選択して「完了」を押すと、国税庁の確定申告書作成コーナーに飛びました。とりあえずこれで準備は完了ですね。あとは申告です。

まとめ
毎年思うことですが、これ、誰を想定した手順と環境なんでしょうね。いろんな部署や組織が絡み、e-taxのためだけではない、一応汎用利用を想定した「住基カード」や「マイナンバーカード」を用いて、個人のいろんな機材や環境を想定したシステムを作る、ということがすごく大変なのは想像できますし、それを考えると良く出来ていると言わざるを得ないのですが。かといって、頑張ったからといってそれが「使いやすい、判りやすい」かどうかは別の話。
正直、この環境設定や利用を普通の、「パソコンといえばインターネット見るくらい?」って人に勧める気にはとてもなれません。なぜならば、勧めたが最後、いまやったような手順のもっといろんなバージョンについてサポートしないといけなくなるからです。
技術や機材、環境が日進月歩で進歩していくので難しいところは有るかと思いますが、やはり「昨年やったのと同じ手順」で何年かは使い続けられるような、そういうものにしないと一般普及はなかなか難しいな、と思いました。具体的な施策は思いつきませんけどね……。

ソニー 非接触ICカードリーダー/ライター PaSoRi RC-S380(e-Tax対応/eLTAX対応 確定申告 マイナポイント マイナンバーカード 交通系ICカード)
- 発売日: 2012/10/10
- メディア: Personal Computers