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日常茶飯事とお仕事と

丁寧な資料、分かり易い図、きれいな資料が嫌われる職場

きれいな資料、色合いやバランスを考慮した図、想定読者を決めて作成した資料などを書くと「そんなのやられたら、自分たちがメンテできないからやめて欲しいし、そんなのやる必要が無い」としかられる職場に居ます。

お客様からは「設計書の文章が分かりづらい、必要な情報にたどり着けない(最悪、書いてない)」という指摘が出ているにもかかわらず、根底には「そんなこと言ってもできないのだから仕方が無い」という空気が漂う職場。うんざりです。

一応会社として成り立ってる組織が、なんでこんなことになってるのか、理由をいくつか考えてみました。いろいろ言ってくる相手を分類する参考になれば幸いです。

書き手のスキルが足りない

一番ありそうです。書き手は本当は書きたい、でもかけない。書き方、何が良いのか、何がだめなのかが分からない……。だから、自分にできないことをやられると同じ品質を保てない……ということですね。この手のタイプって、実は「努力してないだけ」だったりするんですよね。努力っていっても別にものすごい気合いを入れろとかって訳では無く、単に「継続して書くことを続ける」とか「根本からきちんと学ぶ機会を持つ」とかってことです。このタイプは、もしかしたら「書くということが技術として存在する」と言うことに気づいていないパターンもあるかもしれません。その辺は後述します。

書き手が問題に気づいていない

これもありそうで、たぶん結構あって、そして、一番「つける薬が無い」パターン。わざわざ「きれいにする必要がない」という観点で指摘してきて、すべてが無駄だということを強調しようとする。指摘された側が問題を問題視していないので、改善のとっかかりがありません。むしろ、仕事として無駄なことをしている、という路線で攻めてくるので、指摘も応答もすれ違って先にすすみません。このタイプと遭遇すると非常にやっかいです。

書く/描くことをなめている

書くということ自体は、それだけで技術として成り立つのに、それを知らない、気づいていない、もしかしたら、知りたくも無い。で、小学校からの国語の授業が人生にどう役立つか、小さい頃からの読書がどう役立つかに気づかないまま大人になってしまった悲しいパターン。そんなところに手をかけたり、時間をかけたり、お金をかける必要があることや、できるようになるまで時間がかかることも思いつかない。表現手法や外観よりも「中身をきちんとすべきだ」とか言うタイプがこのケースに多いようで。中身と外側はまさに表裏一体なのに、こういう発言をする人の言う中身はたいてい「中身風」なもので使い物にならなかったりします。
問題に気づけば改善の余地はあるのですが、このパターンは20年くらいのネガティブな積み重ねが下地にある可能性があるので、矯正が難しいです。同じパターンとして「教えるということをなめている」もあります。

書く道具が無い

案外これ、あります。たとえば上図の場合、上段の図はExcelが持つ描画オブジェクト、下段はVisioを使っています。当然ですが、後者はVisioを持っていなければ編集できないため、環境やツールがそろっていない状況で、共同で作業する場合は持っていない人に合わせる必要があります。ただ、「共同で作業する」場合や「頻繁に、第三者による編集が行われる」などの場合以外、本来は案外なんとかなるものです。最初の作り手が作ったものを修正する必要がほとんどないのであれば、図ぐらいなら書き直してもしれていることが多いですし、むしろ、図が変わるからこそ編集するという意味からすると、前の図が必ずしも使い回せるとは限りません。正しい道具を適切に使えば、そう凝ったものでなければ結構すぐに作れるものなのですが……。道具をそろえようとしない人はそもそも「ただし道具を正しく使う」ができない場合が多く、これも救いようが無い場合が多い。
また、たとえば誰もが持ってるらしいExcelで作図してあれば「メンテナンス性が良くて誰でも編集できる」かといえばそうとも限りません。それが成り立つのは「Excelの描画オブジェクトを、後々のメンテナンスを想定してきちんと使いこなしている場合」です。実際、オブジェクト間の接続線を「何本もの直線をグルーピングや接続するでも無く配置して並べ、矢印の先は三角形が添えてある」なんて場合もあります。この場合、後々メンテナンスする人は「だったらゼロから書いた方が早い」となります。
後々メンテナンスする人のことを考えろ、という人が居る場合、その人たちがそうした「メンテナンスしやすい作り」を心がけているかどうかを見るべきです。


だいたいこんなところでしょうか。きれいに仕上げたものに、「後々のメンテナンスが」とか文句をつける人でも、本当に道具を使いこなし、いろいろ試した結果メンテナンス性に言及しているのであれば問題ありません。ですが、実際のところ「ではツールや環境を提供するからやってみてよ」と言ってみると「いや、『俺の』いつものやりかたが一番やりやすいから」というのが本音だったりします。要するに、いつもと違うことをやりたくない、そんだけだったり。

道具も日々進歩しますし、なにより、プレゼンテーションや表現手法も進歩する上、我々の顧客も、顧客についているエンジニアも、普段の生活で最新の手法や表現には触れているはず。それを無視して「10年前と同じツール、20年前と同じ文章で、変動し続ける世の中で仕事をしていきたい」なんてのを押し通すなんてのは単なるわがままじゃないですかね。よく「そうやって自分は書けるからってわがままを通されると困るんだよ」とか言われますが、何もせず稚拙な仕上げでお金だけもらいたいなんてあなたたちの方がよほどわがままだし、顧客に対して失礼なんじゃないかと思ったりしながら、今日もまたWordで書いた「下書き」を方眼Excelに「清書」する作業に戻ります。

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