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子宮頸がんワクチンの接種をどうするか

娘の子宮頸がんワクチン接種をどうするかで調べ物中。あくまで医療専門家ではない個人が自分のために調べているものなので、内容の如何に関わらず鵜呑みにしないでください。何かあっても責任は取れません。

危険性がある?

危険性についての話題について、私は正直疑わしい、もしくは論理的で無い何かが混じっていると思っています。

巷で話題になっているのは、子宮頸がんワクチンの接種後、重篤な副作用と思われる症状が出てしまったというケース。これですが、偏った考えや非論理的な思想集団を中心にそういう話題が盛り上がって、さらにそこに不安を持った親たちが便乗しているという図式が少なからずあるのでは無いかと疑って、とりあえずはどういうもので、どの程度のリスクがあるのかを調べようと思っています。

とりあえず我々が信頼せざるを得ない情報源として、厚生労働省など公的機関の見解が有るかと思います。厚生労働省の「子宮頸がん予防ワクチンQ&A」はこんな感じになっています。

www.mhlw.go.jp

なるほど。一般的な予防接種並のリスクはありますよ。でも、効果もあると考えているので接種の機会は用意しますからよかったらどうぞ。って感じですね。

子宮頸がんって?

子宮頸がんについてざっくりまとめると

  • ヒトパピローマウウルス(HPV)と呼ばれるウイルスが原因の1つと考えられている。ただし、子宮頸がん患者の90%からこのウイルスが検出されているということと関連研究による結果であり、それ以外の要因がゼロというわけではない。
  • ヒトパピローマウイルス自体は成人女性の10%~20%が感染していると報告されている。
  • 感染者のうち9割は自然排出され子宮頸がんなどにはならないと報告されている(→100人中、10人~20人が感染、うち1名~2名が持続的にウイルスを保持し続ける)。
  • 子宮頸がんは子宮入り口部分のガン。早期発見できれば部分的な切除で子宮には影響なく治療可能。ただし定期的な検診は必須。

子宮頸がんワクチンって?

  • 子宮頸がん患者から見つかった2種類のHPV(16型、18型)に効果がある(とされている)ワクチン。
  • 種類はサーバリックス、ガーダシルの2種類がある(効果のあるウイルスの幅に違いがある。ガーダシルの方がほかのウイルスにも効くっぽい)。
  • 接種は3回行う必要がある(1ヶ月後に2回目、6ヶ月後に3回目)。
  • 接種による副反応として、痒みや痛みなど軽いものは1割。注射部位の知覚異常や痺れ、失神などが1%未満報告されている。
  • 重いものとしては以下のような統計が取られている。
    • アナフィラキシー:呼吸困難などのアレルギー症状 …… 96万接種に1回。
    • ギラン・バレー症候群(手足の脱力など神経の病気)…… 430万接種に1回。
    • 急性散在性脳脊髄炎(ADEM、頭痛、嘔吐や意識低下など神経の病気)…… 430万接種に1回。
    • 複合性局所疼痛症候群(CRPS、外傷をきっかけに慢性の痛みを生じる病気)…… 860万接種に1回。
  • 接種は中高生のうちが推奨されている。費用等については市町村によって異なるので要確認。

インフルエンザなどのワクチン接種でも0.002%以下といった頻度で重篤症状や死亡例は挙がっていますので*1、個人的にはリスクは一般的なワクチン投与によるリスクと同等か近いと思っています。ただ、こうした情報が挙がっている以上、公的機関も無視するわけにも行きませんし、絶対安全というわけにもいきません。結果として、「積極的には推奨しないように」という指導が出ている状態です。

www.mhlw.go.jp

要するに、国や市町村としては「接種できるようにはするけれど、別に強制はしていないし自己責任でね」というわけです。難しいですね。結局のところ「よく分かってない部分が少しあるから、完璧じゃ無いとNGな人達の反発もあるし安全とは言い切れないです」ってこと。洗剤や殺菌剤のCMで菌や汚れが少し残った絵を出すのと同じですね……。ただ、厚生労働省としては効果とリスクを天秤に掛けた場合、効果の方が大きいと判断して「取りやめ」や「非推奨」にはしていないということ。結局はそこに乗っかれるかどうかなんですね。

危険性をうたっているサイトは?

とりあえず、国などの情報を見てみると「まれに酷いことになる事例が報告されているけれど、大半は大丈夫だとおもうから検討してみて」というニュアンスです。では、反対している情報源はどうでしょうか。

Thinker

古いですが2010年の記事。

子宮頸がんワクチンの危険性/THINKER
http://www.thinker-japan.com/hpv_vaccine.html

ざっくりまとめると

  1. 子宮頸がんとは … 遺伝に関係無く原因のほぼ100%はHPVによるとされている(←断定)。
  2. 原因はウイルス … 15種類のHPVが原因。9割の人は自然消失。子宮頸がんに発展するのは「0、1~0、15%」(←全角、ピリオドでなく全角カンマ)。
  3. 子宮頸がんの対応 … 子宮粘膜に異常が見つかっても安易な手術より観察が大事という専門医もいる(←太字)。
  4. ワクチンの効果 … 接種してもすべての発がん性HPV感染を防げるわけではない(←太字)。日本人が感染して発症しやすいウイルスとワクチンの対応が違うので日本人には限定的である。
  5. 接種対象 … 既に感染していると効果が無い(←太字)。HPV感染前の小中学生女児を優先接種対象とする政策が採られている(←細字)。
  6. 海外で疑問視 … 2003年時点はHPVは危険ではなくと認識されていた(←太字)。マイク・アダムス著の「子宮頸がんワクチンの大ウソを暴く」を取り上げ。
  7. 免疫増強剤の危険性 … 抗体反応強化の為の油性 or 沈降性材料が子宮頸がんワクチンを初めとする「最近のワクチン」には含まれている。これはマウスの実験で(←細字)脳内の運動ニューロンを死滅させることが知られている(←太字断定)。人間の脳はマウスの5倍脆弱でワクチン接種が脳機能の一部を破壊してしまう可能性がある(←太字断定)。
  8. ワクチン自体への疑問 … 免疫力の8割は粘膜が持つ(←太字)。ワクチンで血中抗体を増やしても粘膜の免疫が活性化されなければ抵抗力は増したことにはならず、ワクチンは論理的におかしいものでは無いか(←太字)。
  9. 子宮頸がんワクチン死亡例 … 「接種した医師たちは命を失う可能性があることを十分に説明していたのでしょうか?疑問です」。
    1. 2009年8月ニューヨークタイムズ:ガーダシル接種後死亡報告20件。
    2. 2009年10月ガーディアン紙:ワクチン接種後7日以内の死亡がアメリカで32件。
    3. 2007年オーストリアでガーダシル接種後18歳女性が死亡。
    4. 2009年イギリスでサーバリックス接種後14歳女性死亡。

さらにまとめるとですね、これって「ワクチン自体に疑問を持った人のまとめ」であり、子宮頸がんワクチンが話題の1つに挙げられているにすぎません。途中から「そもそもワクチンは!」という論旨に変わってきています。また、死亡例のところについてはワクチン接種時の注意が不十分だったのでは?と自ら書いているように、ワクチンでの副反応への準備不足や不適切な対象への適用があったのでは?と考えると子宮頸がんワクチンやワクチンそのものを忌避すべきものと判断するのは早計です。

さらに、死亡例の記事としてURLまで提示されているニューヨークタイムズの文章、冒頭を読んでみましょうか。

Some serious complications occurred, including at least 20 deaths and two cases of Lou Gehrig’s disease, 
but they were not necessarily caused by the vaccine, the study said.

「少なくとも20の死亡例と2件のルー・ゲーリック病を含むいくつかの深刻な合併症が起きたが、必ずしもワクチン起因であるとは言えない。」

えっと……反論するサンプル間違えてるんじゃ無いですか?読んでないんですか?読めないんですか?確かに、接種後は日本でも異常があれば即報告という体制になっていますが、関連の有無を問わず、ということのようです。ですので、たまたま調子の悪い人や接種してはいけない状態の人が接種した場合や、別の要因でタイミング悪く酷いことになった人も含まれるはず。そもそも、上記のニューヨークタイムズの文章だと「アメリカでは700万人に接種された」とあります。そのうち20件~30件の異常報告。これを「ハイリスク」と見るか「ガンになるリスクに比べれば許容範囲」と見るか。少なくとも日本の厚生労働省は「接種した方が良いと思う」というスタンスなんですよね。私も同感です。


えっと……いくつかサイトを巡ろうと思いましたが時間切れ。続きは後ほど。

*1:インフルエンザの副反応に関する報告例:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_vaccine.html#vaccine06 などから参照可能です。2010年頃の情報ですが。