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日常茶飯事とお仕事と

「私の仕事ではない」の議論をいろいろみて

典型的日本企業しか知らない人には結構どぎつくさえ思える「脱社畜ブログ」ですが、普段愚痴などで適当に垂れ流しがちな内容を、きちんと整理して記述されているという点も含めて私は結構好きで読んでます。

脱社畜ブログ/「これは私の仕事ではない」が強く言えない日本の職場
http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2013/04/24/210130

で、これに対してこんな意見も出ています。

GoTheDistance/これは私の仕事ではないを貫き通すと、何もできない人になる
http://d.hatena.ne.jp/gothedistance/20130427/1366990148

ちょっときになったところをダラダラ書いてみます。

話すりかわってる…

「何も出来ない人になる」の方の意見は、最終的に

  1. これは私の仕事ではないという人は、責任を負いたくないという人
  2. 職場で自分の居場所がある人ならそれも分かるが、無い人がそういう寝言を言うな
  3. 管理者は他人の成果にも責任を持つ必要がある。自分の仕事で貢献できないのに他人の管理などできるはずがない。

というようなオチになってるのですが……あれれ?脱社畜ブログの内容ってこんな話書いてましたっけ?そもそも、管理職な人が心がけるべきこと、なんて話題全然でてないし。どこから「他人(部下)の仕事に責任を持つ」なんて話が出てきたのか。

脱社畜ブログの方は、別に平社員だろうがなんだろうが問わず、一般的な話として日本の組織にありがちなことを書いているだけですが、なんだか話が変わってしまっています。特に「僕は責任を負いたくありませんという人は…」のくだりなど、元のブログでは誰も責任を負いたくないとかって話をしているのではなくて、「責任を負う必要が無い」ということについて話しているのに、「負いたくない」に変わってます。「必要が無い」と「やりたくない」を混同し、「不必要だから無駄を削る」という話を「なぜそうやって否定的にしか話せないんだ?」みたいに切り返してくる人がよくやる混同です。

自分視点で同じ立場を相手に強要する

これが最悪かも。前述のように、別に管理する側の話とか全然書いてないのに「他人の仕事に責任を持つには」みたいな話に。「任される裁量の範囲が狭くなる」「キャリアを切り開きたいのなら」という言葉からも、「仕事をする以上、裁量権を増やし上位に上っていくことが必要」という考えが背景にちらちら見えますが……別に仕事ってそれだけじゃないでしょう。管理する立場の方が、書かれているとおり責任も重くなり、リスクも負うので給料も高くなりがちで、お金が欲しいならそれなりに背負わないとダメだよ、というのは確かにありますが、仕事をする人全員がそうなれるわけでもないし、そうなりたいと思っている訳でもありません。

仕事について語る以上、管理する側で上り詰めていくのが当然、というような考えで話をする人ってよく居ますね。でもみんながそうでは無い。そして、その過程はたぶん大変だったんだろうけど、別に他の人はもっと上手くやるかもしれないし、そんなコース自体をたどることを回避する人だって居る。その辺、「相手は自分と違うかも」という観点が抜けている人がやりがちな展開です。

「自分の仕事は今日は終わったから帰る」という人に「俺はこんなにがんばってまだ仕事やってるのに?」という風に自分と同じ状況を相手に強いる人って、こういう「あるべき姿」が脳裏に浮かんでいて誰にも彼にもその姿をかぶせて語るというのをよくやるように思います。すくなくともわたしの周囲では。行き着くところ「俺が苦労してるんだ。おまえも苦労しろ」という最悪思想につながりかねません。

1つのNGケースを極大化してすべてであるかのように

仕事をする中では、自分にあたえられた義務を超えて仲間を助けたり、その場を乗り切るために無理をせざるを得ない場面はあると思います。ですが、それはあくまで「例外的な場面」であって、常にそうではないはず、というか常にそうであってはいけないはず。
それを、そういう「無理をした1ケース」だけを取り上げて「常にこうじゃないと」的に話したり、仕事というのはそういうものだ、と語る人って結構危険です。ですが、居ます。たくさん。

もちろん、そういうつらかった経験を、危険回避のためのノウハウ、アンチパターンとして使うというのはアリです。ですが、それは防御のために使うべきで、攻めの姿勢で使うと単なる害悪にしかなりません(あのときのつらい思いをまたやろうぜ!?と言われて喜ぶ人は変態です)。

現実はそうかもしれないけれど

ま、実際の日本企業って確かにそういうところはたぶんにありますよね。ですが、いろいろ問題も起きている今の日本の仕事のやりかたを「正」として落ち着いてしまうのって、それこそ組織の質を上げて利益を増やしていくという責任を放棄した行いなんじゃないですかね。

責任云々を言うのならば。
巨大な経営リスクを負った「マネージャー」さん達はもう少し責任を果たすべく行動したり、ほかの意見にも耳を傾けたりすべきなのではないかとおもったり ←話すり替えてるw