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日常茶飯事とお仕事と

遠隔操作ウィルス問題の一連の報道を見て

ものすごい違和感を感じる。全部のニュースをまんべんなく見たわけでは無く、この連休にボンヤリテレビを見て思ったことを自分用ネタ帳代わりに書き留めておきます。なお、悪いことは悪いことで、そこを許容しようとか擁護しようなんて気はサラサラありません。むしろ、きちんとした報道や情報提供をしなければ、今後もこういうことが起きるかも知れないし、何が問題だったかを理解しないまま世間が先に進んでしまうのではないかと危惧しています。

犯人は現実世界の人間です

「犯人が捕まったのは現実世界のミスが原因」とかうれしそうに言ってますが、犯人は最初から現実世界に居ます。コンピューターで作られたネットワーク上の情報を使った犯罪やいたずらだったとしてもそれを操作しているのは常に現実世界に居る人間です。残念ながら(幸運にも)、まだピュア仮想世界の住人が自律的に現実世界へ影響を及ぼすような土台はできていないはずです。
なのに、まるで「SFの世界のような、恐ろしい仮想世界(バーチャルワールド)からやってきた犯人が!」みたいな扱いでうれしそうに(表情は悲壮感を漂わせながら)ニュースを伝えるワイドショーの司会者やコメンテーター。どうなんでしょうねそれ。犯人もいわば「普通に仕事をして生活している人間で、人間に混じって現実世界で生きている」という認識をもつことが、こういう犯罪に対して無用な距離感を感じずにきちんと認識する第一歩だとおもうのですが。

サイバー捜査って具体的になにするか知ってますか?

「サイバー捜査の限界!?」とか「サイバー捜査の方法に問題が!?」とかうれしそうに見出しを掲げてコメントしてましたが、サイバー捜査って何をどうするのか、判って言ってるのでしょうか。聞いていて「サイバーって言葉使いたかっただけちゃうんか!?」って思ってしまいました。
最終的にコンピューターを表現手法として使った犯罪でしたが、「複数の端末や組織が」「情報を伝達する媒体でつながっていて」「その媒体同士のつながり(ネットワーク)を巧みに使って犯罪を行った」ということだけ言えばオレオレ詐欺だって一緒。端末が電話機かコンピューターかってだけですよ。
捜査の入り口が何であるか、が違うだけで、電話だって、人づてだって、モノの流れだって基本は一緒。その辺の実情を視聴者にはっきりさせずに、「サイバー捜査がですねぇ」とかって「サイバー捜査について語るオレ」に浸りながら報道してるのってどうなんですか。

対象の本質を見ようよ

確かに20年前には無かった犯罪だと思います。でも、道具が変わっただけで、昔のモノに置き換えて理解することは十分可能だとおもいます。もちろん、犯罪が行われるスピードや影響範囲は桁違いですが。
おもしろおかしく報道して、見たことも聞いたこともないもので視聴者を魅了したり驚かせるというのもバラエティ番組や映画やドラマであればアリです。が、こういう犯罪の報道は「種明かし」からスタートしても良いと思いますよ。「こんな新しい技術が使われているけれど、本質はこうなんですよ」という説明があるだけで、見てる人の理解度も格段に変わると思うのですが……。まぁ今の報道が相手に情報を伝えることを目的としていないような感じもありますし、こんなこと言っても仕方ないのかも知れませんけどね……。


カッコウはコンピュータに卵を産む〈上〉

カッコウはコンピュータに卵を産む〈上〉