最近、というかもう何年も、主語はなんだろ?と考えるとおかしなことになりそうな文章が出回っています。たとえばWebの記事でもこんな感じで
- 「この現実は存在しない」ことが実験で証明。科学誌"Nature"に掲載された事実
- http://ameblo.jp/succha/entry-12040300106.html
「存在しないこと」が主語だと、人間でもないものが実験で何かを証明したかのように読めますが、文意は「存在しないことが実験で証明される。」ですよね。
- 何に使う? 世界最大容量、200GBのmicroSDカードが発売
- http://www.gizmodo.jp/2015/06/200gbmicrosd.html
「SDカード」が主語だと、カードが何を売るんだよ?と思いますが、文意は「SDカードが発売される」ですよね。
- Monacaのローカル開発環境「Monaca Localkit」正式版が提供開始
- http://news.mynavi.jp/news/2015/06/11/178/
「正式版が何かを提供してくれるのか!?」と思いたくなりますが実際は「提供開始される」や、開発元を主語として明記した上で「~を提供開始 / 提供開始する」ですよね。
こういうこと言うと絶対といっていいほど「うるせー!伝わればいいだろうバカ」と言われます。たしかに、上記のような見出しであれば別に伝わればいいんですけど、ほんとうに「誰が?」が重要な仕事での文章などでこれをやられると、余計な時間や手間がかかって面倒なんです。で、実際省かれているのは受け身にするための「される」とか3文字程度。端折るなよ、と言いたいわけです。
とかおもっていたら、OKWaveに同じような質問が出てました。
そうそうこれこれ。「給油が開始します」と自動音声がかかるんですよね、スピードパスを扱えるスタンドとかだったかと。これ、すごく違和感を感じていたのですが、回答に面白いことが書いてあります。「隠れ主語」ですって!?……うーん、でも、「SDカードの販売元」が隠れ主語だとしても、そうなると「カードが」ではなく「カードを」ですよね、とか少し引っかかるのですが……
この辺はもう少し調べてみましょう。
できればこういうことを読み手に感じさせない文章を書いていただきたいものです。
あ、あと「言葉は変遷するものだ」という意見、それは変遷しきってから、事後の話として挙げるべきものであって、これから変わりゆくものや、過渡期のものを指してそのことを理由にするのはいかがなものかと思います(実際、本格的な誤用、たとえば略称の間違いや読み違えの言い訳にする若者とかがいるんです)。
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